前(2012年2月)の続きで肺葉切除術について書こうと思います
肺葉切除術というのは、肺を部分的に摘出することなのですが、
なぜ「肺部分切除」じゃなく「肺葉切除」という言い方をするのかというと、
犬の肺は葉っぱ状に分かれているからなのです。
(SURGEON66、インターズー)
肺の腫瘍は一つの肺葉に限定されることが多いので、悪い肺葉だけを根元から切除・摘出することができます。
2つ以上の肺葉が侵されていたとしても、条件付きではありますが最大で肺の全容量の50%(複数の肺葉)を摘出することも可能です
去年(今となっては一昨年)、当院で肺葉切除の手術を実施した理由は肺がんでした(今も元気です)。
犬の肺腫瘍は、全腫瘍中約1%で悪性(がん)の割合が90%以上といわれていて、
都会や喫煙家庭犬に多い傾向があります
人間ではタバコの話題のときによく肺がんが出てくるのでよくある病気のイメージがありますが、
犬では他の場所のがんが肺に転移することは多いですが最初から肺に腫瘍ができることは珍しいのです
どれぐらい珍しいかというと、日本での動物がん治療の草分けである麻布大学腫瘍科の手術件数報告をみると、
1985年〜2010年の15年間で肺腫瘍摘出手術を実施したのは58件ということなので、
大学病院でも1年間に4件もない計算になります
民間の病院ではどうでしょう?
試しにyahooで「動物病院 手術件数」と入れて検索してみました
検索結果順で1番目、2番目の病院の年間手術件数は839件と2931件でしたが、肺腫瘍の手術は0件でした(肺に限らず胸の中に病気があるときに実施する開胸手術も0件)。
10人以上の獣医師が勤務する規模の動物病院でそんな感じですので、
肺腫瘍の手術を実際に見たことのない獣医師はかなり多いと思います
長くなってきたので、また続きは次回(おそらく今月中)。。
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アッシュ犬猫クリニック 西宮市の夙川にある動物病院です
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