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西宮市の夙川にある動物病院のブログです。犬と猫の歯医者さんもしています。
グラグラの歯(2)
2016年10月31日 (月) | 編集 |
前回の続きですが、まずはときどき実際にある残念な相談を紹介したいと思います

重度歯周病で「歯がグラグラ」しているのを心配して動物病院に行ったら、
「歯は放っておいたら抜けるからそのままでいい」と言われたけど本当に大丈夫ですか?
という相談です。

大丈夫ではないです。。
重度歯周病を放置するなんて、とんでもないことです((((;゚Д゚)))))))

歯周病は進行性の病気なので、治療しない限りどんどん悪化していきます。
つまり、歯が抜けるまで着々と歯肉やあごの骨がなくなって、
歯周病菌が口の中だけでなく血流に乗って全身を侵し続けるのです。

グラグラしてるから簡単に歯が抜け落ちてくれるかというと、そうでもありません。
歯の根の周りの歯肉や骨がかなり溶けても、歯が抜けなくてどんどん悪化してた結果、
小型犬だと骨が溶け過ぎて下あごの骨折が起きたりもします

通常の歯周病では重度になっていても症状が解りにくく、
「口が臭いけど食べれてるから歯はそれほど悪くないだろう」ぐらいにしか
家族は思っていなかったりします。
そしてびっくりすることに、ワクチンなどで毎年動物病院を受診していても口の中を診てもらえてなくて、
歯をほとんど抜かないといけないぐらいに重症化している犬や猫が結構いるのです。。

人間と違い、犬や猫は自分で歯磨きができないですし、口の中がおかしいと感じても
病院を受診することもできないので、人間では考えられないぐらいにひどい状態になってしまいます。

どんな状態になるかというと、、

・ 比較するためにまずは正常な状態と骨模型です(右の上あごの奥歯です)。
 健康なら歯の根は骨に埋まっていて、もし歯肉を取り去ったとしても歯の根は見えません。
ぐらぐら4ぐらぐら5

・ 右の上あごの大きな奥歯です(歯石や歯垢で歯が覆われてしまっています)。
ぐらぐら1

・ 歯の根の周りの歯垢(プラーク:ドロドロした細菌の塊。歯肉や骨を溶かす原因です)を除去したところですが、
歯の根の周りの歯肉や骨が歯周病で溶けてしまって、歯の根が見えています。
ぐらぐら2 ぐらぐら3


上の写真のような状態でもドッグフードを丸呑みして食べれるので、
食事を食べれているからそんなに痛くない、ひどくないと誤解されていることが多々あります。

歯がグラグラにならないようにすることが大切ですが、
なってしまったら放置せずにすぐに治療をしてあげることで
痛みをなくしてあげるとともに、さらなる被害を食い止めることが重要です

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アッシュ犬猫クリニック
西宮市の夙川にある動物病院です

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